重要なのは早期発見
こんにちは、城口です。
毎年、11月3日の文化の日は日本各地の美術館や博物館の入館料が無料になる日のようです。今年上野の国立科学博物館では大英博物館展ということで、ミイラの特別展示が開催されていました。
今回のみどころは、「CTスキャン」等を駆使した最新のミイラ研究です。
「CTスキャン」とは、医療現場で利用されているCT検査のことです。
放射線、電磁波の一種を利用した検査方法で、人の輪切りの画像をとって脳や肺の中などに異常がないかどうかチェックできるものです。
実際に人が入る検査機器の中でミイラがスキャンされ、約7000枚も撮影されており、まさに考古学のパパラッチ級の出来事のようです。
なぜCTが利用されたかというと、ミイラを破壊することなく、その内部に秘められた謎を解明する、言い換えれば、コンピューター上でミイラを開封することができるからです。
今回、明らかになったのはその時代の人がどのように生きたのか、そしてどのように生涯を終えたかまで、今までわからなかった細かい部分までが判明したそうです。
研究者曰く、「ミイラはその人の生きた履歴書のようなもの」、ロマンを感じる言葉です。
では、「CTスキャン」が建築や住宅に生かされているのかというと、実は生かされています。
3次元構造物健全性診断システムという、コンクリートの中の損傷等、「建物の異常」を「CTスキャン」によって、早期の段階で発見するもの、人間ドックならぬ、"構造物ドック"というものがあるそうです。
2025年には、建設後50年以上経過する橋梁等の社会資本が約7万か所にもなるとのこと。
今は2021年、あと4年後には建物の異常がどんどん出てくるかもしれないという現実になりうるということです。
タイムリーな話題として、2021年10月3日午後、和歌山県和歌山市松島で「水道橋」が崩落したという事件が起きました。この水道橋の名前は「六十谷(むそた)水管橋」ですが、1975年に設置され、約46年経過しており、既に2015年に耐震化工事を行っていたり、再来年まで耐用年数が持つと想定されていた中での今回の事件は想定外であり、原因は、果たして老朽化なのか、それとも別の問題なのかは不明です。今後の動向が気になるところですが、今回の和歌山県以外でも同様の出来事が考えられるのではないかとニュースでも話題になっています。
建物自体、建物の設備の老朽化については、「首都高速道路」も著名かと思われます。昭和23年(1953年)に単に1964年の東京オリンピック開催の為だけに作られたわけではなく、慢性的な交通渋滞の緩和を目指し、「首都高速道路に関する計画」から生まれた道路です。
こちらも「水道橋」同様に、開通から約50年以上経過した箇所があり、既に都の整備局は修繕作業を行っています。
周辺の再開発で増え続ける新しい高層ビルの中に、50年以上も立ち続けている「首都高」の雄姿は、時代の変遷に耐えしのぐ、力強さと50年以上も耐久力があるという日本の技術力の高さとも捉えられますが、老朽化とともに構造上どこか問題が出てきていないのかも気になります。
限られたコストで膨大な社会インフラを維持していくうえでも、"構造物ドック"の技術向上は今後、重要になってきそうです。
人間の病気も構造物の異常も、重要なのは早期発見!!
異常が出ないためにも予防、早期発見、メンテナンスは大切ですね!!
そして最近は気候変動も著しく、いつ何が起こるかわかりませんので、今を楽しんでいきましょう♪♪